割れ窓理論とは、軽微な犯罪をこまめに取り締まることで、重大犯罪を抑止できるとする理論。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した。
治安が悪化するまでには:
窓が壊れているのを放置すると「誰も当該地域に対し関心を払っていない」サインとなり、犯罪環境を作り出す。
その結果、軽犯罪が目立つようになる。
住民のモラルも低下し、地域の振興・安全確保に協力しなくなる。
凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになる。
心理学者フィリップ・ジンバルドの行動実験(1969)やアメリカ警察財団による大規模な犯罪抑止実験(1972)がある。
これらを踏まえ、犯罪学者ジョージ・ケリングとジェイムズ・ウィルソンが、割れ窓理論"Broken Windows Theory"(1982)を発表した。
もっとも有名な事例の一つにニューヨークでの対策がある。ニューヨーク市は1980年代から犯罪多発都市となっていたが、1994年にジュリアーニ市長がこの理論を応用した治安対策に乗り出した。
具体的には、警察職員を5,000人増員して街頭パトロールを強化し、落書き、無賃乗車、万引き、花火、違法駐車など軽犯罪取り締まりを行い、飲酒運転の厳罰化も制定した。
その結果犯罪は殺人 67.5%、強盗 54.2%、婦女暴行 27.4%減少し、治安が回復した。
日本でも札幌中央署が割れ窓理論を採用(2001)し駐車違反を徹底的に取り締まる犯罪対策を行ったことで治安の回復に成功している。
また東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでも、ささいな傷・損傷を補修することで、従業員や来客のマナーを向上させた。